事業協同組合と株式会社の違いは以下のとおりです。
組合員の経済的利益が目的
株式会社は営利活動を通じて利益を上げ、株主にそれを配当することを目的としていますが、事業協同組合は組合員が組合の共同事業を利用することにより自らの事業に役立てていくことを目的としています。
株式会社は資本の論理に基づく経済合理性を追求しますが、事業協同組合は相互扶助の精神に基づき、人間性を尊重し、不利な立場にある組合員の経済的地位の向上を図るための組織です。
人(組合員)を重視した結合体
株式会社は「資本」を中心とする組織であるのに対して、事業協同組合は組合員という「人」を組織の基本としており、人と人との結びつきを中心とする人的結合体としての性格を持っています。出資限度については、株式会社の場合は出資の制限はありませんが、事業協同組合は組合員が出資をすることが求められたうえで、平等の原則を保持するため1組合員の出資は出資総額の4分の1までという制限があります。
議決権、選挙権は出資金額にかかわらず1人1票
議決権及び選挙権は、株式会社では株式数に比例したものとなり、多数の株式を持つ株主の意向により運営されますが、組合は組合員の人格を重視しており、出資額の多寡にかかわらず1人1票です。
組合員の利用分量に応じて配当
経営資源の限られた中小企業は、近代化・合理化への遅れや取引において不利な立場に立たされるなど、経営上多くの制約があり、個々の企業努力だけで様々な課題を解決することは困難です。厳しい経営環境の変化に対応して、中小企業が経営基盤を強化していくためには、中小企業組合制度を活用することで企業同士が連携し、それぞれが保有するノウハウ、経営資源を補完し合うことが効果的です。
中小企業組合では、「原材料等の仕入コストを削減するためにまとめて仕入れる」「市場を開拓するため共同で新たな販路の開拓を行う」「共同で新技術の開発を行う」「イベントを開催して地域の人々との連携を深める」「研修会を開催して組合員企業の人材の育成を図る」等、様々な事業活動が行われており、こうした取り組みを通じて経営基盤の強化を図っています。
4人以上の発起人、行政の認可により設立
株式会社が1人以上で行政の認可を必要とせず設立可能であるのに対して、組合は4人以上の発起人により、行政の認可を受けて設立します。
事業協同組合 | 株式会社 | |
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目的 | 組合員の経営の近代化・合理化・経済活動の機会の確保 | 利益追求 |
事業 | 組合員の事業を支える共同事業 | 定款に掲げる事業 |
1組合員の 出資限度 | 100分25 |
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議決権 | 出資額に拠らず平等(1人1票) | 出資別(1株1票) |
配当 | 利用分量配当及び1割までの出資配当 | 資本金1円以上1人以上 |
設立要件 | 4人以上の事業者が発起人となる | 資本金1円以上1人以上 |
行政の認可 | 必要 | 不要 |
加入資格 | 自由加入(定款に定める地区内で事業を行う中小企業者) | 無制限 |
責任 | 有限責任 | 有限責任 |
員外利用限度 | 原則として組合員の利用分量の100分の20まで |
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根拠法 | 中小企業等協同組合法(制定:昭和24年) | 会社法(制定:平成17年) |